嘘をつく、その瞬間。

「そう…。」

心臓がドクドクといっている。

早く、激しく。

苦しい、辛い。

「じゃあ…。これを見て?」

そう言って、スマホをいじった小春さん。

「え…。」

それは、あの裏切り者と言われた時の写真。

────に、似た写真。

私じゃない、これは。

じゃあ、これは─────。

「あ、アオ…。」

ドクンッ…。

また、心臓が大きく動いた。

「そう…。本当の裏切り者は…。」

貴方の親友よ?

そう、頭を鈍器で殴られたような衝撃が起きた。

何で、どうして。

「貴方、親友に裏切られたのよ。」

クスクスと、せせら笑う小春さん。

殺意が沸く。

イライラする。

ギュッと、拳を握る。

爪が手に食い込んで痛い。

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