嘘をつく、その瞬間。

この、約束は。

ちっぽけで、

───とても大きな約束。

「ふふ、じゃあね。」

私は、そう無理矢理口角を上げて溜まり場から出ていった。

“裏切り者”という言葉でも随分、違うわね。

1人は、裏切り者の“レッテル”を貼られた可哀想な少女。

裏切り者ではない、と大切な仲間に訴えたがその大切な仲間は信じなかった。

そうして、その大切な仲間に大切な思い出がある場所から追い出された。

──もう、1人は。

自分の為に動く、……そして親友の為ならなんだってする哀れな女。

自分の為なら、なんでもして親友の為だと言う偽善者。

親友に嘘をつき、自分の足で大切な場所から立ち去った。

───自分が憎くて仕方がない。

心華を守れない自分が、嫌いだ。

嫌い、嫌い……大嫌いだ。

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