嘘をつく、その瞬間。
まるで、口から何かが出てくるんじゃないかと思うくらいモヤモヤして。
───気持ち悪い。
「心華……。もう1度。
龍蝶の姫……俺の彼女になってくれないか?」
抱き締められ、耳元で呟かれる。
望んでいた言葉。
だけど、何故か嬉しくなくて。
前のように、ドキドキしなくて。
「はいっ……。」
頭の中は、アオのことで一杯だった。
「───愛してる、心華。」
「……っ、私も……。」
前のように
『私も愛している。』
と、堂々と言えなくなった。
私は、竜也の服をギュッと握り締めた。
「っ、」
沈黙が続く。
気まずくなって、竜也から離れた。
そこには、ニヤニヤした皆が。
皆の存在、忘れてた…っ!