嘘をつく、その瞬間。
「っ、」
パタパタと、走っていった女達。
本当。
「馬鹿な人達。」
私は、壁に掛けられている小さな時計を見る。
……そろそろ、休み時間が終わるわね。
戻らなきゃ。
私は、殴られ、蹴られた体に鞭を打つように歩き始めた。
う……っ、歩く度、ひびくなぁ……。
私は、下唇を噛み締めて拳をつくる。
私が、虐められるのは毎日。
だから、最近は慣れてきた。
相手が、私を殴って済むのなら────。
易い、ものじゃない。
だって、心華に危害がないのよ?
まぁ…さっきみたいな心華を虐めようとする馬鹿な奴等には反抗するけど。
私には、心華しかいないの。
龍蝶も、心華が大切で。
皆から溺愛されてる。
だから、私が我慢すれば。
幸せなのよ。