少女アリスの唄


「うわあ、まじ暗い」
「楽しみだね、きいちゃん」
「……………」



恐る恐る、体育館の扉を開くと、ギイイ…と不気味な音を立てつつ、真っ暗な体育館を見せつけられた。


懐中電灯で周りを照らし、四人なるべく離れないよう、互いに服の袖を掴む。



「ほんとにいんのかよ」
「いるよ、あたしが言うんだから、嘘じゃない」



どこからか、トン、とボールが跳ねたような音がして、みんな肩をビクリ、としつつ、一斉に音がした方を見る。



「ぼ、ボールがっ、は、跳ねてる………っ」



既に気絶寸前の亜理子をよそに、波奈はケタケタと楽しそうに笑い、ほら、ほんとでしょ、とでも言うように奈留を見た。



「…怖ぇな、オイ」



奈留は意外にも肩を震わせつつ、平常心を保ちながらひきつった顔でそう言った。
唯一怖がらなかったのは、真樹と波奈の二人のみ、だった。



「解明しよーよっ」
「ええーっ」



無邪気に笑う波奈の言葉に追いうちをかけられ、ぐったりと腰が抜けた亜理子。それを奈留が支えつつ、波奈の考えに嫌そうな表情を浮かべる。
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