少女アリスの唄

「ね!次はあたし!」



波奈が元気良く手を挙げる。それが廊下に不気味に響き、真樹が人差し指を口に当て、"静かに"と合図すると、彼女は素直に謝った。



「…で青樹、どこ行きたいの?」
「うんとねー、うん、美術室!ココの七不思議ひとつなんだけどね…

なんと!絵の女の人がいなくなるんだって!」



真樹の鞄を勝手に探り、懐中電灯を顔の下に当て、不気味に微笑んだ波奈に思わず亜理子は小さな叫び声を上げる。



「あ、ごめんごめん」
「青のばかっ」



結果、多数決で決めることになり、亜理子以外のみんなはもちろん行きます、の方に手を挙げていた。



「…そんなバカな」
「あははっ、きいちゃんドンマーイ」
「ほら、亜理子チャン、怖かったら俺に掴まっておきなよ」



奈留がニタニタと笑いつつ、亜理子の腕を掴み、自分のワイシャツに亜理子の手を掴ませた。



「掴まってたら怖くないっしょ?ほら、行こ」



早々(はやばや)と美術室に向かう四人。並び順はこうだ。

真樹、奈留、亜理子、波奈。怖がる亜理子は真ん中に配置し、霊感を持つ波奈と、逃げ足の早い奈留が亜理子の前後につき、敏感な真樹が先頭、という順番。
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