サイレント
保健室の窓の外に見える景色は見事に真っ白で、暖房の効いた温かい室内とは対象的に冷え冷えしていた。
三つある保健室のベッドは今二つ埋まっており、生徒の咳が聞こえる。
三学期の始め、一月は風邪で保健室へやってくる生徒が頻繁に出入りし、樹里はなかなか忙しい日を繰り返していた。
保健室にやって来た生徒のクラスと名前を名簿に記入しながらお湯を沸かし、紅茶にレモンと蜂蜜を入れて混ぜる。
基本、保健室で生徒に飲食物は出さないのだが、男子生徒の一人があまりにひどい咳を繰り返しているので可哀相になった。
「相沢くん、起きれる?」
ベッドのカーテンを少しだけ開いて覗き込むと、相沢が赤い顔をして樹里を見上げた。
「紅茶入れたんだけど、よかったら飲んで」
「ありがとうございます」
こぼれないようにゆっくりとマグカップを渡すと樹里は再びカーテンを閉めて自分の席に戻った。
そうこうしていると、ガラリと扉を開き、もう片方のベッドに寝ていた一年の女子生徒の母親が顔を出した。
「すみません、金山柚子の母ですが……」
「あ、今そちらで横になっているので、」
言いながら樹里は女子生徒の寝ているベッドのカーテンを開いた。
三つある保健室のベッドは今二つ埋まっており、生徒の咳が聞こえる。
三学期の始め、一月は風邪で保健室へやってくる生徒が頻繁に出入りし、樹里はなかなか忙しい日を繰り返していた。
保健室にやって来た生徒のクラスと名前を名簿に記入しながらお湯を沸かし、紅茶にレモンと蜂蜜を入れて混ぜる。
基本、保健室で生徒に飲食物は出さないのだが、男子生徒の一人があまりにひどい咳を繰り返しているので可哀相になった。
「相沢くん、起きれる?」
ベッドのカーテンを少しだけ開いて覗き込むと、相沢が赤い顔をして樹里を見上げた。
「紅茶入れたんだけど、よかったら飲んで」
「ありがとうございます」
こぼれないようにゆっくりとマグカップを渡すと樹里は再びカーテンを閉めて自分の席に戻った。
そうこうしていると、ガラリと扉を開き、もう片方のベッドに寝ていた一年の女子生徒の母親が顔を出した。
「すみません、金山柚子の母ですが……」
「あ、今そちらで横になっているので、」
言いながら樹里は女子生徒の寝ているベッドのカーテンを開いた。