サイレント
一が起きてしまわないか気にしながらも一のすぐ隣の窓を5センチ程開いた。
生温い風が吹き込み、樹里の栗色に染めた髪が靡く。
背後でシーツのこすれる音がした。
一が寝返りをうったのだ。一は暑そうにシーツを身体からはねのけていた。
それを直そうと手を伸ばした時、勢いよく保健室の扉が開かれた。
心臓が止まるかと思った。
「センセー絆創膏ちょうだい!爪割れた!」
甲高い声でそう言って飛び込んで来たのは一年の早瀬幸子だった。
早瀬幸子は入学早々、明るく脱色した髪の毛が問題になり、生徒からも教師からも広く顔を知られている。
短いスカートからやや肉付きのいい足を伸ばし、ブラウスの隙間からはシルバーのアクセサリーがのぞいていた。
「好きなだけ取っていって。今、病人がいるから静かにね」
樹里がそう言うと早瀬は「はーい」と手慣れた様子で扉に近い戸棚の引き出しから絆創膏を取り出した。
さっとそれを親指の長く伸びた爪に巻いてゴミをポイと樹里の机に丸めて捨てると、
「ありがとー!」と大きな声で言って飛び出していった。
扉も豪快にバンッと閉める有様で。
生温い風が吹き込み、樹里の栗色に染めた髪が靡く。
背後でシーツのこすれる音がした。
一が寝返りをうったのだ。一は暑そうにシーツを身体からはねのけていた。
それを直そうと手を伸ばした時、勢いよく保健室の扉が開かれた。
心臓が止まるかと思った。
「センセー絆創膏ちょうだい!爪割れた!」
甲高い声でそう言って飛び込んで来たのは一年の早瀬幸子だった。
早瀬幸子は入学早々、明るく脱色した髪の毛が問題になり、生徒からも教師からも広く顔を知られている。
短いスカートからやや肉付きのいい足を伸ばし、ブラウスの隙間からはシルバーのアクセサリーがのぞいていた。
「好きなだけ取っていって。今、病人がいるから静かにね」
樹里がそう言うと早瀬は「はーい」と手慣れた様子で扉に近い戸棚の引き出しから絆創膏を取り出した。
さっとそれを親指の長く伸びた爪に巻いてゴミをポイと樹里の机に丸めて捨てると、
「ありがとー!」と大きな声で言って飛び出していった。
扉も豪快にバンッと閉める有様で。