サイレント
「オメーに本当のこと教えるわけねーじゃん」

「やっぱ?」

「つーかよくわかったな相沢」

「いや、最初虫刺されかと思ったんだけど、先生の反応が変だったからさ。もしかしてって」

「案外本当に彼氏はいなくて、ヤってんのかもよ?頼んだらやらしてくれないかなー」

皆が興奮して騒いでいる中、一だけは黙っていた。
田谷の声がカンに障る。相沢の声に苛々する。

「なあイチお前はどう思う?」

突然話しを振られて一は「は?」と間の抜けた反応しか出来なかった。

全員の視線が一に集中していた。

「だから、先生の相手案外体育のガッキーだったりしてって話!ガッキー女遊び激しいらしいぜ」

「あー。それはないだろ」

そこで尾垣の名前が出て来たことにムッとした。
第一、樹里の首筋のキスマークは間違いなく昨晩一がつけたものだ。

弟のいる家では何もできないので、家まで樹里を送ると弟に嘘をついてアパートの影に隠れて一は何度も樹里とキスをした。
その時ついでに付けたのだ。

ソレが尾垣や相沢みたいな奴に見つかればいい。
そんな一の目論みは見事的中した。
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