サイレント
「俺中一の妹がいるんですよ。歳離れててもう娘みたいな感じなんですけど。妹と同じ歳って考えると無理っすね」

「妹……」

「つか、いきなりそんな事聞いてくるなんて金城先生ってば生徒に告白でもされました?」

「まさかっ」

樹里はブンブンと頭を振った。

「本当に?金城先生こそ生徒にモテそうっすよね。中学の男子なんてさかりのついた猿ですから気をつけた方がいいですよ。頭ん中の九割くらいヤることで埋め尽くされてますから」

尾垣がニヤリと笑う。
笑いながら樹里のレアチーズケーキにフォークを伸ばし、無断で口に運んだ。

樹里はケーキと一緒に運ばれて来たホットカフェオレに口をつける。

「……生徒から見たら私なんてオバサンだし」

ぼそりと呟くように言う。一が樹里をそう見ていると思っているわけじゃないけれど、そのうち一もそう感じるようになるかもしれない。

「そうかな?俺は中学ん時近所のオネーサンに興味ありましたよ。大人の色気に発情してたとも言えるけど」

「でも、今だったら10歳年上の女の人を好きにならないでしょ?」

樹里の問いに尾垣は「33歳か……」と考える。
考えてから「キャメロンとかなら30超えててもアリかな」とふざけた調子で答えた。
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