サイレント
樹里は10分と経たずにやって来た。
立ち上がった一にすぐに気がつく。
一は辺りに人がいないことを確認すると樹里の手を取って家とは反対方向に歩き出した。
マフラーと帽子で殆ど顔の見えない樹里と手を繋いで人目のない神社へ入ると樹里の黒いニット帽を奪い、目深に被った。
不思議そうに一を見つめる樹里に「俺ってわからない?」とやや顎を上げて聞いてみた。
「え?あ、うん」
「じゃあ車取りに先生ん家行こ」
「え、でもご飯は?拓海くん、」
「デートしよって言ったじゃん。タクは大丈夫だから今日は夕飯二人で食べよ」
樹里の車にはうっすらと雪が積もっていた。
扉を開けるときに肩に降り懸かった雪を払い、助手席のシートに身を沈める。
樹里は薄着の一に「寒くない?」とタータンチェックのひざかけをくれた。
フリース素材のそれを膝の上にかけると少しだけ温かい。
「個室のお店知ってるからそこ行こうか」
「うん。そーして」
立ち上がった一にすぐに気がつく。
一は辺りに人がいないことを確認すると樹里の手を取って家とは反対方向に歩き出した。
マフラーと帽子で殆ど顔の見えない樹里と手を繋いで人目のない神社へ入ると樹里の黒いニット帽を奪い、目深に被った。
不思議そうに一を見つめる樹里に「俺ってわからない?」とやや顎を上げて聞いてみた。
「え?あ、うん」
「じゃあ車取りに先生ん家行こ」
「え、でもご飯は?拓海くん、」
「デートしよって言ったじゃん。タクは大丈夫だから今日は夕飯二人で食べよ」
樹里の車にはうっすらと雪が積もっていた。
扉を開けるときに肩に降り懸かった雪を払い、助手席のシートに身を沈める。
樹里は薄着の一に「寒くない?」とタータンチェックのひざかけをくれた。
フリース素材のそれを膝の上にかけると少しだけ温かい。
「個室のお店知ってるからそこ行こうか」
「うん。そーして」