サイレント
「宝探しみてえ」
相沢がそう言ってそのタイトルの本を探し始める。
一はそんな相沢の後に黙ってついていった。
それは歴史の本が並ぶ場所にあった。誰も借りなさそうな古びたカバーがかかった分厚い本だった。
「開いてみろよ」と相沢が本棚から取り出したそれを一によこす。
一はそれを素直に開いた。本は自然と真ん中で開き、その間には携帯につけるようなストラップが挟まっていた。皮で出来たストラップには「ichi」と掘られていた。
ハジメじゃなくてイチというのが不思議だった。
友達は皆イチと呼ぶが、樹里はいつも一をハジメくんと呼ぶ。
「お土産」と書いたポストイットが本のページにくっついていた。
「可愛いなあ。金城先生ってこんなことすんだ」
隣の相沢がボソリと呟いたので一は何となくそのストラップをスポーツバッグに押し込んだ。
「つか、いつから気付いてたんだよ……」
こんなものを見られたんじゃもうごまかしようがなかった。
「五人でお好み焼き食いに行って、お前が先生に送ってってもらったのを知った時くらいから疑ってた」
「たったそれだけで……?」
「それだけじゃないけど」
本を元の場所に戻し、本棚に背を預けた。
相沢がそう言ってそのタイトルの本を探し始める。
一はそんな相沢の後に黙ってついていった。
それは歴史の本が並ぶ場所にあった。誰も借りなさそうな古びたカバーがかかった分厚い本だった。
「開いてみろよ」と相沢が本棚から取り出したそれを一によこす。
一はそれを素直に開いた。本は自然と真ん中で開き、その間には携帯につけるようなストラップが挟まっていた。皮で出来たストラップには「ichi」と掘られていた。
ハジメじゃなくてイチというのが不思議だった。
友達は皆イチと呼ぶが、樹里はいつも一をハジメくんと呼ぶ。
「お土産」と書いたポストイットが本のページにくっついていた。
「可愛いなあ。金城先生ってこんなことすんだ」
隣の相沢がボソリと呟いたので一は何となくそのストラップをスポーツバッグに押し込んだ。
「つか、いつから気付いてたんだよ……」
こんなものを見られたんじゃもうごまかしようがなかった。
「五人でお好み焼き食いに行って、お前が先生に送ってってもらったのを知った時くらいから疑ってた」
「たったそれだけで……?」
「それだけじゃないけど」
本を元の場所に戻し、本棚に背を預けた。