サイレント
A
one
血を見て安心するってもう、人間として終わってるんじゃないだろうか。
カッターで切り刻んだ無数の傷を見つめながら樹里はパソコンの電源を入れた。
やめたいのにやめられない。
樹里の体は自らを傷つけることを覚えてしまってからというもの、その味をしめてしまった。
少し浮上してもまたすぐに沈み、気がつけば手首から血を流している。
自分で見ても気持ちが悪いこの傷を、誰が愛してくれようか。
パソコンが立ち上がると樹里は真っ先に自分のホームページを開いた。
友達から聞いて知った携帯サイト。
そこに樹里は自分のホームページを作った。
そしてそこに小説なんか書いたりしている。
もちろん、友達や職場の人に自分がサイトを持っていることなんて口が裂けても言えないけれど。
ここにあるのは樹里の理想と欲と、口に出せない溜まった思考。
そんな自分の心のうちを曝すような場所を知り合いに見られたいわけがない。
なのに反面、見ず知らずの他人に読んで欲しいとも願っている。
カッターで切り刻んだ無数の傷を見つめながら樹里はパソコンの電源を入れた。
やめたいのにやめられない。
樹里の体は自らを傷つけることを覚えてしまってからというもの、その味をしめてしまった。
少し浮上してもまたすぐに沈み、気がつけば手首から血を流している。
自分で見ても気持ちが悪いこの傷を、誰が愛してくれようか。
パソコンが立ち上がると樹里は真っ先に自分のホームページを開いた。
友達から聞いて知った携帯サイト。
そこに樹里は自分のホームページを作った。
そしてそこに小説なんか書いたりしている。
もちろん、友達や職場の人に自分がサイトを持っていることなんて口が裂けても言えないけれど。
ここにあるのは樹里の理想と欲と、口に出せない溜まった思考。
そんな自分の心のうちを曝すような場所を知り合いに見られたいわけがない。
なのに反面、見ず知らずの他人に読んで欲しいとも願っている。