サイレント
狙いは薬指。
ここまで来ればプレゼントが何なのか、誰にだってわかる。
祖父から貰った少ない自分の小遣いで買えるのなんて、雑貨屋に売っている安っぽいのが精一杯だったけれど。
これを渡せば樹里が期待するのはわかりきっていた。
だからこそ今、卑怯な自分はこんなもので樹里を繋ぎ止めようとしている。
「ハジメくん……」
樹里の左手薬指に銀のリングがぴったりとおさまる。
「外したら、ダメだから」
まだ樹里の顔を直視できない。恥ずかしいわけじゃなく、本気で後ろめたい。
「うん……外さない」
「学校にも、してって」
「うん」
いるかもしれないライバル相手に堂々と戦えない。だから代わりにせめてもの、悪あがき。
樹里にはすでに「男」がいるんだって、誰が見てもわかるように。
それから、樹里に将来の約束をちらつかせるために。
これは最適で最強の武器。
「ハジメくん」
「何?」
「今、抱きしめていい?」
作戦はどうやら成功。
「……いーよ。誰も見てないし」
言い終わらないうちに樹里に抱きしめられた。
この数ヶ月、ずっと手を繋ぐだけだった一達にとって久しぶりの抱擁。
「大好き」
久しぶりに聞く樹里からの告白。
ここまで来ればプレゼントが何なのか、誰にだってわかる。
祖父から貰った少ない自分の小遣いで買えるのなんて、雑貨屋に売っている安っぽいのが精一杯だったけれど。
これを渡せば樹里が期待するのはわかりきっていた。
だからこそ今、卑怯な自分はこんなもので樹里を繋ぎ止めようとしている。
「ハジメくん……」
樹里の左手薬指に銀のリングがぴったりとおさまる。
「外したら、ダメだから」
まだ樹里の顔を直視できない。恥ずかしいわけじゃなく、本気で後ろめたい。
「うん……外さない」
「学校にも、してって」
「うん」
いるかもしれないライバル相手に堂々と戦えない。だから代わりにせめてもの、悪あがき。
樹里にはすでに「男」がいるんだって、誰が見てもわかるように。
それから、樹里に将来の約束をちらつかせるために。
これは最適で最強の武器。
「ハジメくん」
「何?」
「今、抱きしめていい?」
作戦はどうやら成功。
「……いーよ。誰も見てないし」
言い終わらないうちに樹里に抱きしめられた。
この数ヶ月、ずっと手を繋ぐだけだった一達にとって久しぶりの抱擁。
「大好き」
久しぶりに聞く樹里からの告白。