サイレント
「なあ祥子ってもう受験する高校決めた?」

道端に落ちている小石やゴミを蹴りながら歩いていた大悟がふいにそんなことを聞いてきた。

「んー。まあ、何となく。私の成績だとD高かN高くらいかなー。大悟は?」

「俺?俺はまだ、はっきり決めてねえけど。来月から塾行くことんなった」

「マジ?」

「うん」

祥子は空を見上げた。
北斗七星を探してみるが、雲が多くて見つからない。

祥子と大悟はそのまましばらく無言で歩き続けた。

大悟の祖父がトマトやなんかを育てているビニールハウスが見えてくる。

昔はよく大悟と二人でビニールハウスにこっそり潜り込んみ、トマトを盗み食いしていた。

甘酸っぱいトマトの味が懐かしい。

ビニールハウスの前まで来ると突然大悟が足を止めた。

「なあ祥子。俺らって付き合ってるよな?」

「え?あ、うん。何よいまさら」

「……祥子ってさ。俺が付き合ってって言ったらあっさりオッケーしたけど、俺のこと好き?」

いつになく大悟が真面目な顔で祥子を見つめた。
祥子は突然の問い掛けに何も答えられなかった。
< 236 / 392 >

この作品をシェア

pagetop