サイレント
祥子は雑誌を読むのに飽きると窓を開けて固形のキャットフードを窓の下の地面にばらまいた。
一年くらい前からずっと祥子の家に通って来ている猫がいて、祥子はいつも餌をまいてそいつを待つ。
こちらから近づこうとすれば途端に逃げていくけれど、こうやって餌を撒いてただ見つめているだけならその猫は一時間だって二時間だってそこにいる。
芹沢にも餌付けしてみようか。
祥子は地面に散らばるキャットフードを眺めながらふと思い付いた。
窓を閉めてミニのワンピースに着替える。
鏡で髪の毛を確認すると祥子は勉強机の引き出しを開いて中を漁った。
プリクラ、プリント、テスト用紙、色んなものが何の規則性もなく放り込まれている引き出しは四次元ポケットみたいに次から次へと物が溢れ出てくる。
「あった!」
祥子は引き出しの中から少しヨレた一枚の紙を見つけだすとそれをテーブルの上に広げた。
春に貰ったクラス名簿。
くれぐれも他人に渡したりしないようにと担任が言いながら配ったこれを目にしたのは配られた当日以来のことだった。
ずらりと並んだクラスメイトの名前の中から芹沢一を見つけると祥子は住所をメモして部屋を飛び出した。
一年くらい前からずっと祥子の家に通って来ている猫がいて、祥子はいつも餌をまいてそいつを待つ。
こちらから近づこうとすれば途端に逃げていくけれど、こうやって餌を撒いてただ見つめているだけならその猫は一時間だって二時間だってそこにいる。
芹沢にも餌付けしてみようか。
祥子は地面に散らばるキャットフードを眺めながらふと思い付いた。
窓を閉めてミニのワンピースに着替える。
鏡で髪の毛を確認すると祥子は勉強机の引き出しを開いて中を漁った。
プリクラ、プリント、テスト用紙、色んなものが何の規則性もなく放り込まれている引き出しは四次元ポケットみたいに次から次へと物が溢れ出てくる。
「あった!」
祥子は引き出しの中から少しヨレた一枚の紙を見つけだすとそれをテーブルの上に広げた。
春に貰ったクラス名簿。
くれぐれも他人に渡したりしないようにと担任が言いながら配ったこれを目にしたのは配られた当日以来のことだった。
ずらりと並んだクラスメイトの名前の中から芹沢一を見つけると祥子は住所をメモして部屋を飛び出した。