サイレント
「これどうしたの?」
昼を過ぎて家にやって来た樹里にスイートポテトを出してやると樹里は少し声を低くして言った。
まだ熱の下がらない一はベッドに横になりながらテーブルの前にちょこんと座る樹里を見た。
今日の樹里の髪は緩くウェーブしていて柔らかそうだ。
「午前中にダチが来て置いてった」
加藤を分類する言葉を一瞬考えて、無難に「ダチ」という言い方におさまる。
「クラスメイト」「同級生」というのは何だか良くない表現だと反射的に判断する。
けれど樹里はそんな言葉で軽く納得してくれなかった。
「……女の子?」
俯き加減に言う樹里に「ああ、うん」と頷く。
すると樹里は持っていたフォークをガチャンとテーブルにたたき付けて立ち上がった。
「いらない、これ。食べたくない」
「え?」
樹里の顔は心なしか青ざめていた。
「甘いもの好きだろ?」
「好きだよ。でも、これは嫌い」
「サツマイモ嫌いだった?」
一はゆっくりと身を起こして壁に背を預ける。
「鈍感。ハジメくんを好きな女の子が買ってきた物なんて食べたくないって言ってるの。こんなの私に出すなんて、無神経だよ」
昼を過ぎて家にやって来た樹里にスイートポテトを出してやると樹里は少し声を低くして言った。
まだ熱の下がらない一はベッドに横になりながらテーブルの前にちょこんと座る樹里を見た。
今日の樹里の髪は緩くウェーブしていて柔らかそうだ。
「午前中にダチが来て置いてった」
加藤を分類する言葉を一瞬考えて、無難に「ダチ」という言い方におさまる。
「クラスメイト」「同級生」というのは何だか良くない表現だと反射的に判断する。
けれど樹里はそんな言葉で軽く納得してくれなかった。
「……女の子?」
俯き加減に言う樹里に「ああ、うん」と頷く。
すると樹里は持っていたフォークをガチャンとテーブルにたたき付けて立ち上がった。
「いらない、これ。食べたくない」
「え?」
樹里の顔は心なしか青ざめていた。
「甘いもの好きだろ?」
「好きだよ。でも、これは嫌い」
「サツマイモ嫌いだった?」
一はゆっくりと身を起こして壁に背を預ける。
「鈍感。ハジメくんを好きな女の子が買ってきた物なんて食べたくないって言ってるの。こんなの私に出すなんて、無神経だよ」