サイレント
two
夜中の1時。
家族が皆寝静まった時間にそっと帰宅して自室に向かうと、カチャン、とグラスのぶつかる音がして意識を別室に奪われた。
また眠れないのか。
テツは自室に入り、着ていた服を脱ぎ捨てるとTシャツとハーフパンツというラフな恰好に着替えて廊下に出た。
二階には二つしか部屋がない。
テツの部屋と樹里の部屋。
テツの部屋は東側で夏は暑くてたまらず、樹里の部屋は西側の海に面した方であるため夏でも若干温度が低い。
テツは赤い絨毯の広がる樹里の部屋に足を踏み入れた。
「樹里?まだ起きてんの?」
煌々と明かりの点された部屋の真ん中で樹里がうたた寝をしていた。
絨毯と同じ真っ赤なベッドに頭を預けてすやすやと寝息をたてている。
テーブルの上にはアルコールの類の瓶とグラス。そしていくつかの錠剤が散らばっていた。
灰皿にはこんもりと堆く煙草の灰が積もり、部屋の中は酒と煙草とアロマが混ざった不思議な香りが充満していた。
あられもない姉の姿を目にしてテツは少し悲しくなる。
「樹里ー。風邪ひくよ」
声をかけながら樹里をベッドに寝かせ、タオルケットを被せてやる。
樹里は弟のテツから見ても充分若く、魅力的だ。
家族が皆寝静まった時間にそっと帰宅して自室に向かうと、カチャン、とグラスのぶつかる音がして意識を別室に奪われた。
また眠れないのか。
テツは自室に入り、着ていた服を脱ぎ捨てるとTシャツとハーフパンツというラフな恰好に着替えて廊下に出た。
二階には二つしか部屋がない。
テツの部屋と樹里の部屋。
テツの部屋は東側で夏は暑くてたまらず、樹里の部屋は西側の海に面した方であるため夏でも若干温度が低い。
テツは赤い絨毯の広がる樹里の部屋に足を踏み入れた。
「樹里?まだ起きてんの?」
煌々と明かりの点された部屋の真ん中で樹里がうたた寝をしていた。
絨毯と同じ真っ赤なベッドに頭を預けてすやすやと寝息をたてている。
テーブルの上にはアルコールの類の瓶とグラス。そしていくつかの錠剤が散らばっていた。
灰皿にはこんもりと堆く煙草の灰が積もり、部屋の中は酒と煙草とアロマが混ざった不思議な香りが充満していた。
あられもない姉の姿を目にしてテツは少し悲しくなる。
「樹里ー。風邪ひくよ」
声をかけながら樹里をベッドに寝かせ、タオルケットを被せてやる。
樹里は弟のテツから見ても充分若く、魅力的だ。