サイレント
病院の外の空気は実に美味しい。
入院するまではたいして何とも思っていなかった景色や音が一変した。
陽平はお洒落なオープンカフェに座り、人を待っていた。
彼女を探すのはたやすかった。一の前の中学の職員名簿を探ったらすぐに見つかった。
女子高生らしき可愛いウエイトレスが運んで来たコーヒーを飲み干すと視界にシフォンのチュニックが映った。
「……はじめまして」
緊張したその顔は想像していたより可愛いらしく、年下の少年をたぶらかすような悪い女には見えなかった。
「ごめんね。急に呼び出して」
「いえ」
「座りなよ。何飲む?コーヒー?紅茶?ケーキもあるけど」
メニューを広げて笑いかけるが相手はにこりともせずただ居心地悪そうに何度も栗色の髪の毛を触った。
仕方がないので陽平はウエイトレスにケーキセットを二つオーダーする。
「俺が入院してる間、息子の面倒見てもらったみたいでありがとうございます。あ、入院する前もか。金城先生がいなかったらあいつら児童養護施設行きだったし。うちの嫁が馬鹿なことしでかしちまって」
入院するまではたいして何とも思っていなかった景色や音が一変した。
陽平はお洒落なオープンカフェに座り、人を待っていた。
彼女を探すのはたやすかった。一の前の中学の職員名簿を探ったらすぐに見つかった。
女子高生らしき可愛いウエイトレスが運んで来たコーヒーを飲み干すと視界にシフォンのチュニックが映った。
「……はじめまして」
緊張したその顔は想像していたより可愛いらしく、年下の少年をたぶらかすような悪い女には見えなかった。
「ごめんね。急に呼び出して」
「いえ」
「座りなよ。何飲む?コーヒー?紅茶?ケーキもあるけど」
メニューを広げて笑いかけるが相手はにこりともせずただ居心地悪そうに何度も栗色の髪の毛を触った。
仕方がないので陽平はウエイトレスにケーキセットを二つオーダーする。
「俺が入院してる間、息子の面倒見てもらったみたいでありがとうございます。あ、入院する前もか。金城先生がいなかったらあいつら児童養護施設行きだったし。うちの嫁が馬鹿なことしでかしちまって」