サイレント
金城樹里は陽平の質問に答えずに俯いてしまった。
ウエイトレスがケーキと紅茶をそれぞれの前に置いて立ち去る。
陽平は樹里の様子を見ながらケーキを食べ始めた。樹里はフォークに手を伸ばすこともしない。
ようやく樹里が言葉を発したのは陽平がケーキを食べ終えて紅茶をすすっていた時。
「……れてって言うために私を呼んだんですか?」
か細い声で最初の方が聞き取れず、陽平は「え?」と聞き返す。
「ハジメくんと別れろっていうために呼んだんですか?私のこと」
今度ははっきりとした声だった。
ようやく顔をあげた樹里は唇を噛み締めて悔しそうに顔を歪めていた。
「何で?皆してよってたかって……」
「皆?」
「ハジメくんを放ったらかして辛い思いさせてたくせに……いまさらそんなこと。……それなら最初からっ、あなたたちがハジメくんを助けてあげたらよかったんじゃないんですか!?」
瞳を真っ赤に潤ませた樹里は興奮したように言った。
「そしたら私だって、ハジメくんだって……こんな、こんなことにはっ」
陽平が呆気に取られて黙っているととうとう樹里が泣き出した。
ウエイトレスがケーキと紅茶をそれぞれの前に置いて立ち去る。
陽平は樹里の様子を見ながらケーキを食べ始めた。樹里はフォークに手を伸ばすこともしない。
ようやく樹里が言葉を発したのは陽平がケーキを食べ終えて紅茶をすすっていた時。
「……れてって言うために私を呼んだんですか?」
か細い声で最初の方が聞き取れず、陽平は「え?」と聞き返す。
「ハジメくんと別れろっていうために呼んだんですか?私のこと」
今度ははっきりとした声だった。
ようやく顔をあげた樹里は唇を噛み締めて悔しそうに顔を歪めていた。
「何で?皆してよってたかって……」
「皆?」
「ハジメくんを放ったらかして辛い思いさせてたくせに……いまさらそんなこと。……それなら最初からっ、あなたたちがハジメくんを助けてあげたらよかったんじゃないんですか!?」
瞳を真っ赤に潤ませた樹里は興奮したように言った。
「そしたら私だって、ハジメくんだって……こんな、こんなことにはっ」
陽平が呆気に取られて黙っているととうとう樹里が泣き出した。