サイレント
ただじっとしていても汗ばむ程蒸し暑かった。
土手を歩きながら座れそうな場所を探す。
「そういえば、一学期の成績どうだった?」
「え?ああ、まあまあ。クラスで3位」
「すごっ」
「すごくないって。目標450点楽勝越えだし。まだまだ。先生中学ん時何点くらい取ってた?」
「私?!」
「うん」
「私はねえ、まれに450点いくくらい?……だと思う」
樹里はそう答えながら河原の芝生の上に腰を下ろした。人二人がようやく座れるだけのスペースだった。
周りには同じように座って花火を待つ人々の影。
暗がりの中では顔まではっきりと見て取ることはできなかった。
花火が始まればきっと皆周りの人間なんて見ない。
「二学期からは皆部活も引退して勉強始めるだろうから、夏休みのうちに差をつけとかなきゃ」
一がそう言って樹里の隣に腰を下ろすと樹里はまじまじと一を見つめた。
「何?」
「……ハジメくんって本当、不思議なくらい偉いよね」
「どこが」
「私、中学も高校も勉強なんか嫌いで、でも親が勉強しろってうるさいから仕方なく勉強してただけだもん。ハジメくんみたいに親に言われずとも自分からすすんで勉強する子、なかなかいないよ?」
土手を歩きながら座れそうな場所を探す。
「そういえば、一学期の成績どうだった?」
「え?ああ、まあまあ。クラスで3位」
「すごっ」
「すごくないって。目標450点楽勝越えだし。まだまだ。先生中学ん時何点くらい取ってた?」
「私?!」
「うん」
「私はねえ、まれに450点いくくらい?……だと思う」
樹里はそう答えながら河原の芝生の上に腰を下ろした。人二人がようやく座れるだけのスペースだった。
周りには同じように座って花火を待つ人々の影。
暗がりの中では顔まではっきりと見て取ることはできなかった。
花火が始まればきっと皆周りの人間なんて見ない。
「二学期からは皆部活も引退して勉強始めるだろうから、夏休みのうちに差をつけとかなきゃ」
一がそう言って樹里の隣に腰を下ろすと樹里はまじまじと一を見つめた。
「何?」
「……ハジメくんって本当、不思議なくらい偉いよね」
「どこが」
「私、中学も高校も勉強なんか嫌いで、でも親が勉強しろってうるさいから仕方なく勉強してただけだもん。ハジメくんみたいに親に言われずとも自分からすすんで勉強する子、なかなかいないよ?」