サイレント
駐車場付近ではすでに渋滞が起こっていた。
花火を背に、一の姿を探しながら自分の車を見つけだしキーを開ける。
そのまま運転席に乗り込むと樹里は一の携帯に電話をかけてみた。
プルル、プルル、プルル
と呼び出し音が続くだけで一向に出ない。
「……」
樹里は仕方なく電話を切って窓の外を眺めた。
浴衣姿のカップルが腕を組みながら車の横を通りすぎていく。
「いいな……。浴衣、着ればよかった」
一に浴衣は着ないと宣言しつつも、出かける前に一応箪笥から浴衣を出してみた樹里だった。
紺色に小さな花があしらわれたごく普通の浴衣は大学の時に買ったもので、殆ど袖を通していない。
浴衣を着て一と歩くのにも憧れたけれど、どう考えても長時間の運転には不向きで、直前まで迷ってやめた。
花火を背に、一の姿を探しながら自分の車を見つけだしキーを開ける。
そのまま運転席に乗り込むと樹里は一の携帯に電話をかけてみた。
プルル、プルル、プルル
と呼び出し音が続くだけで一向に出ない。
「……」
樹里は仕方なく電話を切って窓の外を眺めた。
浴衣姿のカップルが腕を組みながら車の横を通りすぎていく。
「いいな……。浴衣、着ればよかった」
一に浴衣は着ないと宣言しつつも、出かける前に一応箪笥から浴衣を出してみた樹里だった。
紺色に小さな花があしらわれたごく普通の浴衣は大学の時に買ったもので、殆ど袖を通していない。
浴衣を着て一と歩くのにも憧れたけれど、どう考えても長時間の運転には不向きで、直前まで迷ってやめた。