サイレント
「そんなことないですけど」
樹里は言いながら携帯を開いた。
一からかと期待したのに中身は行きつけのショップからの広告メール。
すぐに削除して携帯を閉じると視界が陰った。
不思議に思って上を向く。
「え、なに……」
唇に熱いものが触れて、それが尾垣の唇だと気がついたときには尾垣が視界から消えていた。
代わりに後部座席のドアが開いてるのが見え、樹里は車の外を覗く。
「−−っ」
暗がりに倒れた尾垣の上に馬乗りになっている一の背中がそこにあった。
一が拳を振り上げ、尾垣の顔を何度も殴り付けていた。
「ハジメくんっっ!!」
樹里は車から飛び降りると一の背中に飛び付いた。
羽交い締めにするように一を制する。
けれど一はいとも簡単に樹里を振り払うと再び尾垣を殴り付けた。
「ちょっと!やめてよ!!」
辺りには騒ぎに気付いた野次馬見物客が増え始めていた。
「やめてってば!!」
今度は前に回り込み、尾垣を覆うようにして一を見上げた。
「ハジメくんっ」
ようやく一の動きが止まる。一を尾垣の上から引きずり降ろし、地面に座らせると背後で尾垣が起き上がった。
樹里は言いながら携帯を開いた。
一からかと期待したのに中身は行きつけのショップからの広告メール。
すぐに削除して携帯を閉じると視界が陰った。
不思議に思って上を向く。
「え、なに……」
唇に熱いものが触れて、それが尾垣の唇だと気がついたときには尾垣が視界から消えていた。
代わりに後部座席のドアが開いてるのが見え、樹里は車の外を覗く。
「−−っ」
暗がりに倒れた尾垣の上に馬乗りになっている一の背中がそこにあった。
一が拳を振り上げ、尾垣の顔を何度も殴り付けていた。
「ハジメくんっっ!!」
樹里は車から飛び降りると一の背中に飛び付いた。
羽交い締めにするように一を制する。
けれど一はいとも簡単に樹里を振り払うと再び尾垣を殴り付けた。
「ちょっと!やめてよ!!」
辺りには騒ぎに気付いた野次馬見物客が増え始めていた。
「やめてってば!!」
今度は前に回り込み、尾垣を覆うようにして一を見上げた。
「ハジメくんっ」
ようやく一の動きが止まる。一を尾垣の上から引きずり降ろし、地面に座らせると背後で尾垣が起き上がった。