サイレント
ぼうっと窓の外を眺めていると一台の黒い軽自動車が祥子の前に停まった。

半分程になったミルクティーはまだ温かく、一気に飲み干す。

空になった缶をごみ箱に捨てようと立ち上がるとちょうど、黒い軽自動車から女性が降りたのが視界に入り、祥子は足を止めた。

白いコートに身を包み、栗色の長い髪の毛をアップにした女の人。

見間違えるはずがなかった。

芹沢の彼女。
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