サイレント
毎週金曜日、この時間帯に必ずやって来る患者がいる。
しかも院長ではなく、看護師の樹里を指名する。
困ったことに本人にはこれといった病気もないこと。
病気もしてないのに来ないでと言えばどこかしらに擦り傷を作ってやって来る。
そんな患者に樹里はとても疲れていた。
「あっ!来ましたよ!」
自動ドアが開くと同時に鞠が小声で叫んで樹里の肩を叩いた。
学ラン姿の高校生が受付に来て診察券を出す。
「今日はどうなさいましたか?」
鞠がそう聞くとその高校生は「胸痛と食欲不振で」と今までとは違う新しい症状を口にした。
「では椅子に腰掛けてお待ち下さい。先生が名前を呼びますので」
鞠は他の患者に対するのと同じように言った。
その隣で樹里は患者の方を見もせずにペンをくるくると回し続ける。
コンコン、と樹里の前で長く綺麗な指がカウンターを叩いた。
仕方なく顔を上げる。
そこにあるのは中学の時とは比べものにならないくらい大人びた一の顔。
しかも院長ではなく、看護師の樹里を指名する。
困ったことに本人にはこれといった病気もないこと。
病気もしてないのに来ないでと言えばどこかしらに擦り傷を作ってやって来る。
そんな患者に樹里はとても疲れていた。
「あっ!来ましたよ!」
自動ドアが開くと同時に鞠が小声で叫んで樹里の肩を叩いた。
学ラン姿の高校生が受付に来て診察券を出す。
「今日はどうなさいましたか?」
鞠がそう聞くとその高校生は「胸痛と食欲不振で」と今までとは違う新しい症状を口にした。
「では椅子に腰掛けてお待ち下さい。先生が名前を呼びますので」
鞠は他の患者に対するのと同じように言った。
その隣で樹里は患者の方を見もせずにペンをくるくると回し続ける。
コンコン、と樹里の前で長く綺麗な指がカウンターを叩いた。
仕方なく顔を上げる。
そこにあるのは中学の時とは比べものにならないくらい大人びた一の顔。