サイレント
気がつくと一は固いフローリングの上に寝かされていた。
ベッドによしかかって体育座りをしている樹里と目が合い、身体をゆっくりと起こす。
「あれ、俺」
「倒れたの。いきなり馬鹿な真似するから貧血でも起こしたんじゃないの」
樹里の口調は容赦なかった。
倒れた一をフローリングの床に寝かせていたのは、ベッドに寝かせたくなかったからか、それともそこまで運ぶ体力がなかったか。
どちらにせよ樹里は一をさっさと追い出したい風だった。
「もう大丈夫なら帰って。二度とここに来ないで」
「……まだ頭がふわふわする」
一は嘘をついた。
部屋の中をゆっくり見渡す。前に一度だけ入ったことのある樹里の自宅の部屋は異常な程赤いもので埋め尽くされていたが、ここはシンプルな色合いだった。
この方が樹里らしい。
ベッドによしかかって体育座りをしている樹里と目が合い、身体をゆっくりと起こす。
「あれ、俺」
「倒れたの。いきなり馬鹿な真似するから貧血でも起こしたんじゃないの」
樹里の口調は容赦なかった。
倒れた一をフローリングの床に寝かせていたのは、ベッドに寝かせたくなかったからか、それともそこまで運ぶ体力がなかったか。
どちらにせよ樹里は一をさっさと追い出したい風だった。
「もう大丈夫なら帰って。二度とここに来ないで」
「……まだ頭がふわふわする」
一は嘘をついた。
部屋の中をゆっくり見渡す。前に一度だけ入ったことのある樹里の自宅の部屋は異常な程赤いもので埋め尽くされていたが、ここはシンプルな色合いだった。
この方が樹里らしい。