サイレント
樹里の真剣な瞳に不覚にもドキリとした。
「……さあ」
曖昧な表情でごまかす。
烏龍茶が空になって、おかわりを取りに行こうかどうか迷うが、今は席を立てるような雰囲気ではなかった。
「じゃあどうして大切な奥さんと子供達を置いて家を出たんですか?」
「……君はどうして大好きな一と別れたの?」
あまり自分の内側を他人に見せるのが好きじゃない陽平は質問には答えず逆に聞き返した。
そんな陽平に樹里は嫌な顔をしてみせる。
「ちゃんと質問に答えて下さい」
「やだね。第一俺、そこまで嫁や子供を大切にはしてなかったよ。始めから」
「嘘。じゃあ何故奥さんに病気のこと話さなかったんですか?心配させたり、悲しませたりしたくなかったからでしょ?ハジメくんを引き取ったのも自分の息子が私なんかと道を踏み外していくのを止めたかったからですよね?」
樹里の話し方はだんだんヒートアップしてきて、早口になり、声色も変わり始めていた。
「……さあ」
曖昧な表情でごまかす。
烏龍茶が空になって、おかわりを取りに行こうかどうか迷うが、今は席を立てるような雰囲気ではなかった。
「じゃあどうして大切な奥さんと子供達を置いて家を出たんですか?」
「……君はどうして大好きな一と別れたの?」
あまり自分の内側を他人に見せるのが好きじゃない陽平は質問には答えず逆に聞き返した。
そんな陽平に樹里は嫌な顔をしてみせる。
「ちゃんと質問に答えて下さい」
「やだね。第一俺、そこまで嫁や子供を大切にはしてなかったよ。始めから」
「嘘。じゃあ何故奥さんに病気のこと話さなかったんですか?心配させたり、悲しませたりしたくなかったからでしょ?ハジメくんを引き取ったのも自分の息子が私なんかと道を踏み外していくのを止めたかったからですよね?」
樹里の話し方はだんだんヒートアップしてきて、早口になり、声色も変わり始めていた。