サイレント
車に乗り込み、メーターの横にあるデジタル表示の時計を見る。

2時半。ちょうどバスが来るまで後30分程。

薬局で薬をもらっているのだから一がどこかしら体調が良くないことは明らか。

けれど子供じゃないんだからバスまで時間があるなら病院のロビーで座って時間を潰すくらいの智恵はあるはずだった。

樹里がわざわざ心配してやる必要なんかない。

ブレーキを踏み、エンジンをかける。

サウナのように暑くなっていた車内にエアコンの風が強く吹く。

樹里は額の汗を手の甲で拭うと車を動かした。
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