サイレント
一の家に着くまでの間、一は本当に眠ってしまったようで、静かだった。
アパートの前の道に車を寄せて後部座席を振り返ると、一の穏やかな寝顔が目に飛び込んでくる。
起こすのを躊躇うくらい、気持ち良さそうだった。
「ハジメくん、着いたよ」
ちょっと遠慮した小さな声で話し掛けてみたが、反応はない。
どうせ今日はもう予定がないのだからこのまま一が目覚めるまでこうしていても良かったけれど、後部座席なんかよりきちんとベッドで眠った方が身体が休まるのだからそうもいかない。
「ハジメくん、起きて」
手を伸ばして肩を軽く揺さぶると、一が眉間に皺を寄せながら目を開いた。
「あ、ごめん。熟睡しちゃった」
「いいよ別に。それより眠いならちゃんとベッドで寝なよ」
「……ん」
一はゆっくり起き上がってかばんをつかむとドアを開いた。
「ありがとう」
「いいえ」
座席に座ったまま両足をドアの外に出した一が樹里をじっと見つめる。
「……ジュリさ、どっか悪いの?」
「え?」
「薬もらってただろ。風邪じゃなさそうだし」
アパートの前の道に車を寄せて後部座席を振り返ると、一の穏やかな寝顔が目に飛び込んでくる。
起こすのを躊躇うくらい、気持ち良さそうだった。
「ハジメくん、着いたよ」
ちょっと遠慮した小さな声で話し掛けてみたが、反応はない。
どうせ今日はもう予定がないのだからこのまま一が目覚めるまでこうしていても良かったけれど、後部座席なんかよりきちんとベッドで眠った方が身体が休まるのだからそうもいかない。
「ハジメくん、起きて」
手を伸ばして肩を軽く揺さぶると、一が眉間に皺を寄せながら目を開いた。
「あ、ごめん。熟睡しちゃった」
「いいよ別に。それより眠いならちゃんとベッドで寝なよ」
「……ん」
一はゆっくり起き上がってかばんをつかむとドアを開いた。
「ありがとう」
「いいえ」
座席に座ったまま両足をドアの外に出した一が樹里をじっと見つめる。
「……ジュリさ、どっか悪いの?」
「え?」
「薬もらってただろ。風邪じゃなさそうだし」