サイレント
一人は怖い。
一人で部屋の中でじっとしていると衝動的に自分の欲求へと突き進みそうになる。
夜中でも飛び出してしまうことがある。
夜ぐっすり眠れず、浅い眠りの中、何度もそれを実行に移す夢を見た。
いや、完全に眠ってはいないのだから、夢というより妄想に近いのかもしれない。
そんな時はいてもたってもいられず、人肌に触れたくなり、夜の街をさ迷う。
一度ナンパをしてきた高校生の部屋についていったこともあるくらい。
最低だと思う。
結局その高校生とは何もせず、彼がトイレに立った隙に逃げて来た。
何となく、誰と何をしてても、一と同じような歳の男だけは駄目だと思った。
一を捨てておいてそれはない。
人間として最低レベルの常識だけは守りたかった。