サイレント

two

目が覚めると日が暮れていた。

パジャマ代わりにしている中学の時の部活の黒いTシャツは、汗でしっとりと湿っていた。

一はそれを脱ぎ、プラスチック性の三段になった洋服箪笥から新しいTシャツを取り出し、それに着替えた。

薬のおかげか、ぐっすり眠れたおかげか気分は良くなっていた。

喉の渇きを覚え、拓海が持って来てくれたスポーツドリンクをごくごくと飲む。

父はまだ帰っていなかった。

携帯電話を開く。

着信が一件。相沢からだった。

相沢とはなんだかんだ学校が違ってもたまにメールをしたり、どちらかの家で会ったりする。

着信からかなり時間が経っていたので、一は謝罪のメールを打った。

すぐに携帯が奮えて相沢からの返信が届く。

『風邪引いたんだって?駅で拓海に会ってそう聞いた。大丈夫か?』

一もすぐに返事を打った。

『大丈夫。もう平気』

『そっか。良かった』

『何、用ってそれだけ?』

そこで返信が一旦途切れた。

何か別のことをしているのか、長文を打っているのかわからないが、一もキッチンに立って夕飯の準備に取り掛かる。
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