サイレント
葱を刻んで、鶏肉と溶き卵、細かく切ったしいたけと人参を煮込んだ雑炊を作る。

男二人暮らしももう長いため、たいていのものはすぐに作れるようになった。

インド料理ばかり作っていた母とは対象的に一は日本食を好んで作る。

樹里はどちらかというと洋食をよく作ってくれていた。

雑炊が出来上がって茶碗とスプーンを取り出そうと食器棚へ手を伸ばすと、ちょうど携帯が鳴った。

相沢からの返信。

『そういえばさ、お前覚えてる?中学ん時に俺が後輩の女子から教えてもらった携帯小説のサイト。お前あの後自力で見つけられた?』

携帯小説……。

そういえば初めて相沢に樹里とのことを話した日、相沢はそんなことを言っていた。

それを読んで一と樹里の関係に気がついたのだと言われた記憶がある。

あの当時、一は携帯を持っていなくて、家にも自由に使えるパソコンがなかったため、気になっていたものの、探すことはなくそのうち忘れてしまった。

『いや、見つけてないけどそれが何?』

返事を返してから茶碗とスプーンを取り出す。
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