サイレント
一は使った食器をすぐに洗い、風邪薬を水道水で飲むと軽くシャワーを浴びてパジャマに着替えた。
ベッドに横になってテレビを見る。
最近は似たようなバラエティー番組ばかりであまり面白くない。
一はテレビの音をBGMに夏休みの宿題になっていた英語の問題集を開いた。
先に問題に目を通してから長文を読み始めた。
内容は源氏物語を英語に訳したものだった。
物語の内容を知ってさえいれば多少わからない単語が混ざっていても解ける。
ベッドに横になって勉強をしていると眠くなるという友人がいたが、一はどんな状況で勉強しようが眠くはならない。
二、三ページ進んだところでガチャガチャと玄関の鍵を開ける音がしてきて、父が帰って来た。
「お、一。調子はどうだ?病院行ってきたか?」
朝出ていった時より皺の増えたスーツ姿の父からは外の匂いがした。
「行ってきた。薬も飲んだし大分楽」
「そっか。夕飯は?」
「食べた。雑炊で良かったら鍋にまだ残ってるけど」
「じゃあそんでいーや。作るの面倒だし」
言いながら父は冷蔵庫を開いた。いつも帰って来たら父は冷蔵庫を開いて烏龍茶を飲む。
ベッドに横になってテレビを見る。
最近は似たようなバラエティー番組ばかりであまり面白くない。
一はテレビの音をBGMに夏休みの宿題になっていた英語の問題集を開いた。
先に問題に目を通してから長文を読み始めた。
内容は源氏物語を英語に訳したものだった。
物語の内容を知ってさえいれば多少わからない単語が混ざっていても解ける。
ベッドに横になって勉強をしていると眠くなるという友人がいたが、一はどんな状況で勉強しようが眠くはならない。
二、三ページ進んだところでガチャガチャと玄関の鍵を開ける音がしてきて、父が帰って来た。
「お、一。調子はどうだ?病院行ってきたか?」
朝出ていった時より皺の増えたスーツ姿の父からは外の匂いがした。
「行ってきた。薬も飲んだし大分楽」
「そっか。夕飯は?」
「食べた。雑炊で良かったら鍋にまだ残ってるけど」
「じゃあそんでいーや。作るの面倒だし」
言いながら父は冷蔵庫を開いた。いつも帰って来たら父は冷蔵庫を開いて烏龍茶を飲む。