サイレント
樹里の言葉が本当かどうか、表情から読み取ろうとするけれど、すぐに目を逸らされてしまう。

「俺には聞きたいことがたくさんあるよ」

「私には答える義理がない」

樹里がはあ、と浅く息をつく。本当に苦しそうで見ていられない。

「ジュリ、昨日も聞いたけど本当にどっか身体悪いんじゃない?」

「頭がおかしいだけって言ったでしょ」

「頭がおかしかったらこんなに顔色悪くなんの?なんないだろ?」

思わずタオルケットを引っ張って樹里の肩に手をかけてしまった。

樹里はその手を振り払うようにまた一に背を向ける。

「眠れないだけよ。睡眠不足だからしんどいの。そっちこそ昨日あんなに熱があったのにこんなとこまで来て何してんの?」

「寝れないって毎日?」

「……」

一の知る限り、樹里は精神面が恐ろしく弱い。
ちょっとしたことで壊れてしまいそうなくらい脆い。

「……俺のせい?いつから寝れないの?」

今も樹里は昔のまま苦しんでいて、壊れそうだったとしたら……?

自分で自分を傷つけていたとしたら……?

「ねえジュリ」

「だからっ。何でもハジメくんに絡めないでよ!単に仕事のストレスで寝られなくなってるだけなんだからっ」
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