サイレント
彼を目で追う自分が許せなくて、自分はどこかおかしいんじゃないかと疑ってしまう。
テレビニュースで未成年に対する大人たちの目も当てられないような犯罪を目の当たりにするたびに樹里は背筋の凍る思いをした。
私は違う。私は違う。あんな大人たちとは絶対に違う。
その証拠に私はなにもしていない。
他の生徒達はただの子供にしか見えない。興味もない。
なのにどうして……。
どうして樹里には彼にだけ子供に見えないのだろう。
樹里は重たい気持ちを抱えたまま保健室の椅子に座り、暇な時間を持て余していた。
授業が始まってしまうと校内はとたんに静かになる。樹里が通う中学校は校舎が二つに分かれており、それぞれが渡り廊下でつながれている。
上から見たらちょうど長方形になっており、真中に中庭があるというごく一般的な形をしていた。
樹里の職場である保健室は校門から見て左側の校舎の一階手前に位置し、その隣は理科実験室同じ並びに職員室もある。二階には音楽室や図書室、それから三年生の一部の教室が。三階には残りの三年生の教室があり、校門から見て右側の校舎には一、二年生の教室があった。体育館は右の校舎の後ろ側に繋がるようにして建てられていた。
テレビニュースで未成年に対する大人たちの目も当てられないような犯罪を目の当たりにするたびに樹里は背筋の凍る思いをした。
私は違う。私は違う。あんな大人たちとは絶対に違う。
その証拠に私はなにもしていない。
他の生徒達はただの子供にしか見えない。興味もない。
なのにどうして……。
どうして樹里には彼にだけ子供に見えないのだろう。
樹里は重たい気持ちを抱えたまま保健室の椅子に座り、暇な時間を持て余していた。
授業が始まってしまうと校内はとたんに静かになる。樹里が通う中学校は校舎が二つに分かれており、それぞれが渡り廊下でつながれている。
上から見たらちょうど長方形になっており、真中に中庭があるというごく一般的な形をしていた。
樹里の職場である保健室は校門から見て左側の校舎の一階手前に位置し、その隣は理科実験室同じ並びに職員室もある。二階には音楽室や図書室、それから三年生の一部の教室が。三階には残りの三年生の教室があり、校門から見て右側の校舎には一、二年生の教室があった。体育館は右の校舎の後ろ側に繋がるようにして建てられていた。