エルドラドステージ
「目は覚めましたか?」
ヒュン、とすべりよくひとつの扉が開いた。

長身の、中肉中背という表現がぴったりな体格の男が入ってきた。
落ち着いた笑顔を浮かべてはいるが、男は3人をくまなく観察しているような感があった。

笑顔の裏の人間に対する警戒心。どことなく登に似ている。

しかし登に感じるような寂しさは彼にはない。
ただただ、穏やかな凪が彼の心にあった。


武は何か違和感を覚えていた。
この男― いや、この見知らぬ男がこんなにそばに近寄っているのに…

登は何故、剣を抜かない?
笑顔なんかに登が騙されるはずはない。
すると…この男には殺意はひとカケラもないと言うことになる。

しかし―!?

武は背中の剣に手を伸ばした。

「ここは―どこだ!?」

おやおや、と男はわざと目を大きくして再び口を開いた。

「ここはアルカディア。あなた方の探していた永遠の楽園です。」


アルカディア。聞いたことがある。
エルドラドとともに楽園を意味する言葉だ。そうするとここは自分たちが探していた国なのだろうか。
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