エルドラドステージ
しかし言葉が違うだけで何故こうも違和感を感じるのだろう。エルドラドを求めて求めて、ずっと求め続けて長い間歩いてきた。

本当にここが、その終着駅なのだろうか。


「あなた方がジャパニーズで助かりました。ここには他の肌の人は入れませんから。ただ、ここに生きる限りは約束していただきたい。本来ならば必要のない約束ではあるのですが…」


「ちょっと待ってくれ。もう少し詳しく頼む。おれ達も混乱しているんだ」

今にも剣を抜いて飛びかからんばかりの武を遮って登が言った。

「ああ、失礼しました。そうでしょうね。どう見てもあなた方は偶然にここに辿り着いたようですし…」

男は慣れた手つきで手元のパネルを幾つか押した。

目の前のモニターから緑が消え、砂漠が映し出された。


「ここが― あなた方が先ほどまでいた場所です。」

「百年…いやそれよりもう少し以前のことになります。第三次世界大戦が始まり、多くの人間が行き場を失いました。」

今となっては些細と言えるエネルギー問題をきっかけに、憎しみは利益と相まって世界中に広がってゆく。緊張の糸はほつれ、パワーバランスは崩れていった。

憎しみは宗教から肌色へ、肌色から民族へ。


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