エルドラドステージ
男の話は俄かに信じがたかった。しかしここが本当に楽園ならば―長かった旅が今終わる。

しかし…感情のコントロール。そんなことが本当に可能なのだろうか。

登は章の腕にすっぽり入ってしまうような華奢な体つきとは裏腹に、戦いの中で圧倒的な強さを見せつける。登の剣は光のように速く、鉛のように重い。戦いのエリアを見定める能力は他の2人に比べて群を抜いている。
しかし武は―もちろん章も知っている。彼が誰よりも弱いことを。だからこそ誰よりもエルドラドを求めていることを。

ちなみに、と男は3人の方に目線を強く置きなおした。

「あなた方には、ここを出るという選択肢はありません。」

「…どういうことだ?」
武は鞘から抜き出した剣先を男の喉元につきつけた。

登の肩を支えながら章が続く。

「例えば俺たちがここを出ていったとしても…アルカディアの秘密は守る。…というか、俺たちはここにどうしたら辿り着けるかの手段を知らないんだ。安心してくれて構わない。」

「アルカディアは存在そのものを地上に晒すわけにはいかないのです。でも出ていく必要があるのですか?ここはあなた方が求めていた楽園なのですよ。」
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