エルドラドステージ
「人間らしくない、とお思いでしょうか。でもご理解いただきたい。」

そしてこの人間らしい感情― 怒りや悲しみや不快感と引き換えに平和が手に入る。
それほどまでにも今の我々に平和は必要なのだ、とも男は言った。


「これが…俺たちが探していたエルドラドなのか?」

登は男に問いかけた。
男は先ほどからの強い視線を揺るがせないまま登を黙って見つめていた。
男の感情は章でなくともわかるようだった。
堅い決心と覚悟。
穏やかな雰囲気は厳しい空気にかき消されていた。


「あなた方にとっては…地獄にも等しい楽園かも知れません」


「あなた方にはバニッシュが出来ないのです。」

アルカディアが誕生して以来、自分たちのように思いがけず楽園の扉を開くものは多い。しかしそのすべてを受け入れるわけにはいかない。ましてやジャパニーズでなければ楽園には入れない。
そういった人間たちにはバニッシュ処理をして地上へ戻すのだという。

砂漠に戻された彼らは再びアルカディアの思い出ひとつ持たずに旅を続けるのだ。
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