エルドラドステージ
稀にバニッシュ処理が出来ない人間に出会った時、アルカディアはどうするか。

ジャパニーズでなかった場合― 彼らは処分される。アルカディアの存在は絶対的に隠し通さねばならない。その平和を保つために。
では、ジャパニーズだった場合。


「国内において秘密を守ってくれ、としか言いようはありません。秘密を一生抱えるのは辛いことですが…。もちろん秘密を知った者にはバニッシュ処理を行いますが、アルカディアに不適合と判断された場合、処分となります。実を言うと、バニッシュが出来ないジャパニーズをアルカディアが迎えた実績は過去に二度しかありません。…私と…もう1人、やはりコントロールルームにいる浩二と言う者です。」

ひとつのモニターがコントロールルームの、痩せてはいるが筋肉がきっちりついた男に焦点を絞った。

「浩二。」

ルームに届いた声をきっかけに、この浩二と言う男は何か手元の機械を操作し、部屋を出ていった。

やがて先ほどと同じ扉が開き、浩二が入ってきた。

「カイザー、彼らが先ほどの…」


浩二は3人がこれまで話をしていた男をカイザー(皇帝)と呼んだ。

「浩二。彼らをこれから暮らす屋敷へご案内を。それからコントロールポジションは君の所に置くから頼む。」

「俺たちに拒否権はないってね。カイザーだなんて…まるで歴史のフランス主義みたいだな。やがて民衆に倒されるぜ」

武は浩二のもとへ歩き出した足を止めて言った。
この呼ばれ方は好きじゃないんですけどね、とカイザーは苦笑いした。

< 16 / 57 >

この作品をシェア

pagetop