エルドラドステージ
愛しい人と交わす口づけは、何故こんなにも甘いのだろう。
砂漠の砂に埋もれても激しい雨に打たれてもなお登からはいつも優しい太陽の匂いがした。

章は腕の中の太陽に再び優しく口づけた。頬に、首に、そして額に。


―不安なんだ
こんなにもアルカディアは平和で優しいのに…!
これからここで二人と共に生きて行けばいいはずなのに、背中の剣を抜かないで生きていけるのに、堪らなく不安なんだ

なぜこんなにも不安なのかわからない、わからないんだ!!


とめどなく登の感情が流れこんでくる。

章はいつもその感情に触れては何もできないでいる。どうしようもない不安に押しつぶされそうな登を抱きしめてやることしかできない。やがて眠りが彼を解放するまでは。
< 22 / 57 >

この作品をシェア

pagetop