エルドラドステージ
「…隠れろ!」
やわらかい空気が一転して緊張に包まれた。

先ほどまで章とモニターのギターに見入っていた登はその目を光らせた。
こういう時は彼に従った方がいい。戦いと隣合わせの日常で、ヒトは様々な能力を身につけてきた。

登のそれは「敵意」を察するもの。他の2人より群を抜いて察しがいい。
これまで彼の能力のおかげで幾つものムダな戦いから免れてきた。


それぞれが物陰に潜み、息を殺す。

やがて、2人の大柄な男が入って来た。
男らはモニターの映像には目もくれず引き出しを漁り始めた。

「チキショウ。ねぇな。盗られたばっかりだ」
「まだその辺にいるかも知れねぇぜ。間に合うんじゃねえのか?」


彼らが話す言語はジャパニーズ。この広い世界で生き残っている人間の中で同じ民族とすれ違う機会は少ない。
章は懐かしさに体を前に動かした。

男らが気配に振り向いた瞬間。

登の背中の剣が2人の首を跳ねた。


「登!!ジャパニーズだぞ!!」


「バカやろう、甘くみるな!!ヤツらにとっちゃ俺らはエサでしかない!ジャパニーズもチャイニーズもスパニッシュもない!!全員が敵だ!!」

血糊のついた剣を背中に差し、登は部屋を出た



< 4 / 57 >

この作品をシェア

pagetop