エルドラドステージ
先ほどまでの安らかな時間が引き裂かれ、彼は狂気に囚われる。



根本はバリバリと音を立てて割れ、その穴から循環せずにとどまっていた養分が血のように流れ出した。



これまで砂漠の中で何度も聞いた、死神の鎌が振り下ろされる瞬間。

堪え難い痛み、孤独、恐怖に晒された時、誰しもがきっと正常ではいられなくなる。




一瞬のことだった。



彼の身体を青白い炎が一気に包みこみ、彼の声は途絶えた。


黒い影を炎は青に赤に朱に揺れまどい、はたと消えた。


残ったのは燻る煙と灰。

どんなに強い炎でも、また彼がどんなに渇いていたとしても…明らかに「自然」な終わりではない。


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