エルドラドステージ
「な…どうして…」


章は燻り続ける灰に手を置いて、「彼」を掴んだ。


まだ…熱い。



「…そこにいるな。出て来るがいい。」



登の声が静かに響いた。



章と武が登の視線を追った。



「出てきて、お前の『答え』を見届けるんだ。」



揺れる煙を光が照らす。



「だって、つらいんだって言ってた。ホントはもっと早くこうしてあげればよかったんだ。そしたら、こんなに苦しまないですんだのに。おじいさんを苦しめたのはボクだ。ボクのせいなんだ。」



「…これが砂漠で必要な能力…だったのか…。」


武はその能力(ちから)に圧倒された。


他人(ひと)の苦しみを知り、その苦しみから解放すること。


そんなことが出来るなら、苦しむ人々はこぞってそれを望みに来るだろう。



助けて下さい、助けて下さい。
私をこの苦しみからお救い下さい。
そして再び生まれ来る時は……!!



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