エルドラドステージ
「さあ、シュウ。見るんだ。」



木の陰から出てきたシュウの背中に、登は手を添えた。



「もっと早くこうしてあげなくちゃいけなかったんだ!…でも…ボクはおじいちゃんが好きだったから!いなくならないで欲しかったから!」



しゃくりあげながらシュウは地べたにしゃがみこみ、泣き叫んだ。


シュウの中で大人と子供の感情が交差している。


愛する者を、我が儘に安らぐことを許さないのは子供のシュウ。

気持ちをしまいこんでまでも、愛する者の安らぎを得ようとするのは大人のシュウ。


しかしそのどちらにも、自然界の全てが自分の望むままに動くという思い上がりがある。



アルカディアが答えを出せなかった理由がシュウにはまだ理解できない。



シュウがカイザーの管理下にいたのは、シュウが子供だからに他ならなかったのだ。


子供らしい独占欲。
子供らしい素直さ。
子供らしい思い上がり。


これら全てが危険因子となる限り、シュウはイレイサーの対象だ。

しかしカイザーは自らが監視をするということで、半ば強引にシュウを残した。


カイザーは権力を濫用してまで、アルカディアからシュウを守っていたのだ。


「だって、こんなにかわいいじゃないですか」


それがカイザーの口癖だった。



気がつくと、森中に警報が鳴り響いていた。






< 51 / 57 >

この作品をシェア

pagetop