エルドラドステージ
「武!」
章が武の身体を抱きしめた。
「武…!俺は本当にお前に会えてよかったと思っている。だから…いつかまた会えると信じている。いや、絶対に出会うはずだ!」
武は章の背中の震えをそっと撫でた。
「…これが最期みたいに言うなよ。おれはお前たちをすぐに追いかける。俺は両方とも…お前らも…ケイコも手放す気はない。俺は欲張りなんだぜ。」
「扉は何度でも開きますよ。…というより常に開いているんですから。」
「浩二!」
カイザーの顔が一瞬緩んだのは見間違いではないだろう。
「俺も…アルカディアのコントロールは効かないんですよ。」
そうだった。
だからカイザーと浩二は解りあい、共にシュウを守っていたのだ。
「シュウの能力(ちから)があんなふうに爆発することくらい、想定しておかなこればいけなかったんです。」
カイザーはシュウを愛おしむように見つめて言った。
「最初、シュウを彼に逢わすつもりはなかったんです。でもいつの間にか…本当に自然にシュウはあそこへ通いつめていて。どこかに抜け道でもあるんでしょうかね。」
まるで子供のいたずらに、ちょっとやられたような顔で微笑む。
浩二もまた、そんなカイザーを見つめていた。
それはきっと、いつものような柔らかい時間。
「…僕は…今日の出来事に関わる全てにバニッシュ処理をするつもりです。」
「…カイザー…」
いつの間にかカイザーの笑みは厳しい権力者の顔に変わっていた。
浩二からも笑みは消えていた。
「もう、アルカディアの時間を止めただけで充分すぎるくらいの罪を犯しているんです。僕は…最後の最後まで綺麗にしておきたいと思うんですよ。」
誰も言わなかった。
カイザーはアルカディアの全権を握っているのだから、今回のことはカイザーの言うとおり全てをバニッシュして…それで終わりにしたらいいのだと。
章たちがアルカディアを出ると言うならそれでいい。森の奥の出口で闇の蟲たちと戦い、砂漠に戻ることなく息絶えたらそのまま消しておけばいい。
カイザーはそれだけの権力を持っているではないか。
章が武の身体を抱きしめた。
「武…!俺は本当にお前に会えてよかったと思っている。だから…いつかまた会えると信じている。いや、絶対に出会うはずだ!」
武は章の背中の震えをそっと撫でた。
「…これが最期みたいに言うなよ。おれはお前たちをすぐに追いかける。俺は両方とも…お前らも…ケイコも手放す気はない。俺は欲張りなんだぜ。」
「扉は何度でも開きますよ。…というより常に開いているんですから。」
「浩二!」
カイザーの顔が一瞬緩んだのは見間違いではないだろう。
「俺も…アルカディアのコントロールは効かないんですよ。」
そうだった。
だからカイザーと浩二は解りあい、共にシュウを守っていたのだ。
「シュウの能力(ちから)があんなふうに爆発することくらい、想定しておかなこればいけなかったんです。」
カイザーはシュウを愛おしむように見つめて言った。
「最初、シュウを彼に逢わすつもりはなかったんです。でもいつの間にか…本当に自然にシュウはあそこへ通いつめていて。どこかに抜け道でもあるんでしょうかね。」
まるで子供のいたずらに、ちょっとやられたような顔で微笑む。
浩二もまた、そんなカイザーを見つめていた。
それはきっと、いつものような柔らかい時間。
「…僕は…今日の出来事に関わる全てにバニッシュ処理をするつもりです。」
「…カイザー…」
いつの間にかカイザーの笑みは厳しい権力者の顔に変わっていた。
浩二からも笑みは消えていた。
「もう、アルカディアの時間を止めただけで充分すぎるくらいの罪を犯しているんです。僕は…最後の最後まで綺麗にしておきたいと思うんですよ。」
誰も言わなかった。
カイザーはアルカディアの全権を握っているのだから、今回のことはカイザーの言うとおり全てをバニッシュして…それで終わりにしたらいいのだと。
章たちがアルカディアを出ると言うならそれでいい。森の奥の出口で闇の蟲たちと戦い、砂漠に戻ることなく息絶えたらそのまま消しておけばいい。
カイザーはそれだけの権力を持っているではないか。