愛のカタチ
――そのときだった。
「あっ!」という短い声とともに賢司のポケットから何かが、転がり落ちた。
咄嗟に、足元に落ちた破片を拾い上げる。
ストラップの破片だった。
「はい、これ」
「悪りぃ。サンキュー!」
おもむろに、ズボンのポケットから携帯を取り出し、付け直そうとするが……
「ダメだ。捨てるしかねぇな」
と、ポケットに無造作に入れたのを見て、黙っていられなくなった。
「それ、いらないなら欲しいな」
はっ?とした顔を見せたのも束の間、すぐに柔らかい表情に戻った。
「こんなの欲しいの?」
コクンと頷いた。
「使い古してるし、壊れてんのに?」
「うん」素直に頷いた。