愛のカタチ
あたふたする私の隣で、賢司はさらりと言い返す。
「悪りいな!一足先に楽しませてもらったよ!なっ、真理」
「……えっ!?」
固まった。
気の効いたことでも言えればいいのだけれど……
咄嗟のことで、しどろもどろ。
「真理ちゃん、ちゃんと話してくれないと、今日は帰れないよ!」
木場くんが意地悪なことを言う。
みんな、何が可笑しいのか、さっきからずっと顔を見合せて笑っている。
賢司の方をチラッと見るけど、知らん顔している。
……やだ、どうしよう。
「もう、この辺で勘弁してあげよっか―」
百合の鶴の一言で、助かった。
始めから本気で怒ってる人など一人もいなかった。
みんな私をからかっているだけだった。