愛のカタチ
「でもさ……
この中で結婚してるのって、真理ちゃんだけだろ?どんな経緯で結婚することになったのか知りたいよな?」


と、またしても木場くんが言い出したものだから……。 


「えっ?うん…まぁ、その…… 結婚式で会って……」


その件には、触れてほしくない。できれば、今は避けて通りたい話題だ。



賢司の前で、二人の馴れ初めなんて、言えるはずもない。


視覚の角に映る賢司は、大して興味がない様子で、タバコに火を点けていた。



「へぇ!それって二次会ってこと?…で、どのくらい付き合ってたの?」


「……二年くらいかな?」

苦笑いを浮かべ、曖昧に応えるしかなかった。



こういう場面が、昔から本当に苦手だった。


友達の甘い話や恋愛相談には乗るけれど、自分のことになると、てんでダメで……


自分から話すことは、あまりなかった。


なんとなく、気恥ずかしくて…。







「ちょっと、いい加減、空気読みなよ!」


困っている私に、強力な助っ人が現れた。



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