愛のカタチ
「だから、あんたはダメな男なのよ!」


「なんで、俺がダメな男なんだよ!」


「そういうところが全然分かってないんだよ、昔から!」


「なんだよ、それ…意味分かんねぇし!」


「人の気持ちを考えろ!ってことよ!だいたいねぇ……」


百合の容赦ない口撃が始まった。弁の撻つ百合を前にして、さすがの木場くんもたじたじだった。


そこからは、すっかり話題が逸れ、百合と木場くんの痴話喧嘩に様相は変わっていった。 


標的から外れた私は、内心ホッとしていた。


心の中で、百合に感謝した。


気持ちが落ち着いたところで、辺りをぐるりと見渡すと……






視界の先には、賢司がいた――。 


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